公立小学校で働くこと13年。元養護教諭のさやです。

「養護教諭を辞めたい…」
健康診断や毎日の保健室来室対応。
膨大な仕事量に追われる日々を送っていると、ふと退職が頭をよぎる瞬間があるかもしれません。
この記事では
養護教諭を退職する理由と辞める前にすべきことについて、実際の経験を交えてお話しします。
- 養護教諭を辞めたい
- 育休からの復帰を悩んでいる
- 教員退職までのリアルな経験談が知りたい
結論:退職を決断したら、計画的に動こう。


筆者は13年勤務したのち、養護教諭を退職しました。
退職を決断したことに、今のところ後悔はありません。
それは、退職を考えた時から計画的に準備し、動いてきたからです。
この記事が、養護教諭からの「退職」を考えている方の参考になれば幸いです。
養護教諭を退職する理由4選


養護教諭を辞めたいと感じる理由の中でも代表的なものを紹介します。
1 年休が取りづらい
養護教諭は基本的に学校に一人。休みが取りづらいです。
自分が休めば代わりがいないため、保健室は閉めることになります。
特に健康診断シーズンは自分以外に仕事は頼めないため、休むなんてもってのほか。
子どもの体調不良で平日に休んだ時は、土日に出勤して何とか帳尻を合わせていました。



4、5月は保育園からの電話が恐怖でした。
2 家庭や育児との両立


私が育休復帰後、退職を選んだ大きな理由が家庭や育児との両立です。
平日、自分の子どもと一緒に過ごせるのは出勤前と帰宅後のわずかな時間。
そのわずかな時間も余裕がなく、子どもにイライラしてしまう日々。
大事な我が子を長時間預けて、他人の子に寄り添っている働き方へのモヤモヤが、どうしても消化しきれませんでした。
3 責任の重さ
養護教諭は専門職であり、大きな責任を負いながら仕事をしています。
覚悟はしていても、その責任の重さに耐えきれなくなってしまうこともあるかもしれません。
① 命を守る責任
学校で重大なけがや病気が起きた時、養護教諭は子どもの生死にかかわる重大な判断を迫られます。
実際に経験した事例
- 食物アレルギー
- 熱性けいれん
- てんかん発作
- 歯の完全脱落
- 顔面骨折
- 変形を伴う骨折 など



判断のミスや遅れは即、健康や命の危機につながることに…!
子どもたちの命を守るため、救急処置は養護教諭の専門性が最も問われる場面です。
対応に遅れやミスがないのが当たり前。
養護教諭や学校の対応に不手際があれば裁判沙汰になることもあります。
一瞬も気が抜けない毎日を過ごす責任の重さに、辞めたくなる人も多いでしょう。
② 個人情報を取り扱う責任
養護教諭は職務上、様々な個人情報を取り扱います。
デリケートな情報も多く、取り扱いには細心の注意が必要です。
取り扱う情報の例
- 持病や発達に関すること
- 保護者の連絡先や勤務先
- 子どもの家庭環境
- 来室時に受けた相談内容 など



ファイルを置き忘れてしまいヒヤッとした経験、私もあります…
どんなに忙しくても、データの漏洩や書類の紛失は許されません。
学校での情報漏洩に関する不祥事のニュースを見るたびに、明日は我が身と神経がすり減る思いでした。
4 人間関係の悩み
養護教諭は様々な人と関わる仕事ゆえに、人間関係の悩みが尽きません。
・同僚
・管理職や上司
・子どもや保護者
・学校医
・複数配置の相方
これまで人間関係に悩み、異動や退職の選択をする先生をたくさん見てきました。
特に複数配置校の場合、相方養護教諭との関係に悩むケースが多いです。



関係がこじれないように、上手く関わろうとしてさらに疲弊してしまう…
養護教諭が退職を考える大きな原因の一つです。
辞める前にすべきこと


養護教諭は採用倍率も高く、退職後また正採用に戻るのは非常に大変です。
思いつきではなく、きちんと納得してからの退職をおすすめします。
1 辞めたい理由を整理する
養護教諭を辞めたいと思ったら、なぜ辞めたいのか理由を明確にしましょう。
辞めたい理由を整理することで、退職後に進む道や転職活動をする際の指針になります。
2 退職以外の解決策を探す


本当に退職以外の解決策はないのか考えてみましょう。
もしかしたら、退職する前に出来ることがあるかもしれません。
- 学校や校種を異動する
- 上司や信頼出来る人に相談する
- 休職する
人間関係の悩みであれば、もしかしたら異動することで改善する可能性もあります。
また、養護教諭の免許は校種に関係なく勤務が可能です。
可能であれば、学校種を変えてみるのも選択肢の一つです。
3 自分がやりたいことを書き出す
養護教諭を辞めたら何をしたいですか?
やりたいことを書き出してみると、不安や準備するものが見えてきます。



退職してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないように
辞めた後の人生設計も考えておきましょう。
4 家族の了承を得る
退職の意志が固まったら、まずは家族に相談しましょう。
私は夫に最初に相談しましたが、第一声は…



まさか本当に辞めるとは思わなかった。
その後今後の見通しをたくさん話し合い、きちんと納得してもらいました。
周りの人の理解を得ることで、スムーズに退職準備に進むことが出来ますよ。
5 金銭面の不安を解消しておく
私は退職時、共働きで住宅ローンもまだまだ残っていました。
そのため、退職にあたって一番の不安は金銭面でした。
退職後の生活を考えておかないと、転職先がなかなか見つからず生活基盤が不安定になる可能性があります。
税金や保険を含めた年間でかかる金額を事前に確認し、生活費を十分に準備しておきましょう。
特に家族や子どもがいる人は金銭面でのリスクを最小限に抑えるよう、しっかりシミュレーションしておきましょう!
6 退職に向けて準備する


以下の順番で準備を進めるのがおすすめです。
① 転職先を探す
まず始めに転職サイトに登録し、求人情報をチェックしました。
並行して転職エージェントも利用し、自分の求める職場を探していくことが出来ました。
転職サイト…求人情報を自分で調べ、応募する。(例:リクナビNEXT)
転職エージェント…企業との間に入って求人を紹介してくれる。(例:リクルートエージェント)
どちらのサービスにもメリットはあるので、複数登録して自分に合ったサービスを見つけるのもアリです。



私もこの2つは実際に利用しました!
② 退職日を決める
養護教諭は年度末での退職がおすすめです。
後任も見つかりやすく、春休み中に引き継ぎを行うことが出来るからです。
立つ鳥あとを濁さず。
よほどの理由がない限り、年度途中での退職は避け、手順を踏んで退職しましょう。
③ 管理職へ退職の意向を報告
私の自治体では9月に来年度の人事意向調書の提出があり、その場で年度末退職の意を伝えました。



それまで一切退職するそぶりを見せていなかったため
「退職を希望します。」と伝えたところ管理職は一瞬固まっていました…
ですがスムーズに退職に向けて進んだので、このタイミングで伝えたのは最善だったと思います。
④ 近い人へ退職することを伝える
管理職の次に退職を伝えたのは事務の方です。
退職にあたり様々な手続きが発生するので、今後お世話になりますとお声がけしました。
他にも、保健関係で協力することが多い保健主事の先生には早めに伝えることをおすすめします。
⑤ 引き継ぎ書類の作成
引き継ぎ書類は早めに作るに越したことはないです!!
年度末退職でも、退職を決めた時点から少しずつ引き継ぎの準備をしましょう。
養護教諭は一人職。
ここまで必要かな?と思うくらい、細かく引き継ぎを行った方が後任の方も助かると思います。
日々の備忘録や引き継ぎ書類の作成には、以下の2つがおすすめです。


⑥ 退職書類の手続き
最後に、退職書類の記入と提出です。
こちらは退職が近づいた1〜2月に事務さんに必要書類をもらい、記入して提出しました。
基本的には言われた書類に記入するだけなので、難しいことはなかったです。
まとめ:人生一度きり。入念に準備して、後悔のない選択を。


私は養護教諭を退職したことで、
「本当に大切なもの」「これから何をして生きていくか」をじっくりと考え、自分の人生を見つめ直すことができました。
皆さんももし退職を決めたなら、計画的に準備をして、後悔のない道を選択してください。
教員の働き方は様々で、人生における価値観も人それぞれです。
もちろん教員の仕事を立派にこなしながら、子育ても趣味も楽しんでいる先生もたくさんいます。
「子どもたちのために」毎日全力で頑張っている先生方を見ていると、もっともっと教員の努力が報われる世の中になってほしいと願ってやみません。